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飼育器具を用意するのだ〜!

尚ちゃんは、帰るあいだ、ずっとオヤジの悪口を言い続けてた。

「なによクソジジイ、こんな水槽、きっと5円よっ!翔くん、ダマされたのよっ」
こんな勢いで怒る尚ちゃんを見たのは初めてだったので、翔くんはビビっていた。

翔くんの家は、おとうさんもおかあさんも出かけていて留守だったから、さっそく水槽のセッティングが始まったんだ。
「翔くん、袋から砂がこぼれてる」
尚ちゃんの声に振り向いた翔くんは、コロコロした砂に足をすくわれて、ちょっとばかり、頭を床と砂の間で挟んじゃったけど平気さ。

「クモの巣が張ってるから、ママレモンで洗うわね」

そー言うと尚ちゃんは、台所でゴシゴシ水槽を洗い始めた。翔くんは、急におばんくさくなったてゆーか、たくましくなった尚ちゃんをポーと見てたって言うか、目が回ってたというか。

「翔くんっ、ボーとしてないで、砂を洗ってちょうだい。そんなのきっと、工事現場で夜中に詰めて来たに決まってるわ!」

尚ちゃんの決めつけはいつも凄いなあと感心した翔くんは、食器を洗うボールに砂をダーと入れて、ママレモンをいっぱい振りかけたんだ。とたん、水が真っ黒になって、尚ちゃんは、ほらごらん、て横目でつぶやいた。
「その変な煙突みたいなのも洗ってっ!」

翔くんは、いつまでたっても水が真っ黒なのと、泡でいっぱいなのに参ってたんだけど、煙突ってなに?て考えちゃった。

翔くんも、これの正体はわかんなかったけれど、モーターとビニールパイプで繋げるらしいのは知ってた。オヤジの店でブクブク空気が出てたもん。全然オシャレじゃないぞ。もうちょっと、色でもついてりゃいいのに、と、翔くんは思った。
「泡モコモコー!」

なんだか、いつまでたっても砂から黒い水が出るし、キリが無いんで、尚ちゃんは、「翔くん、とりあえずお部屋行こう」て言った。翔くんは、その一言でドキドキしてしまって、「ハイィ」と叫んだきり、真っ赤になっちゃった。

「そんなに力入れて洗わなくってもいいのに」
尚ちゃんは、ギョッとした顔で翔くんを見て、水槽に、煙突とビニールチューブとモーターを入れ、二階へ行ってしまった。

「翔くん、バケツに水汲んで来てね」
尚ちゃんの声に、バケツと砂を抱えた翔くんは、イソイソと二階へ・・・。

ロマンチックなことはなにひとつ起こらず、尚ちゃんは、窓際の机に水槽を置いてた。で、さっそく組み立ててみたんだけどね・・。

翔くんと尚ちゃんは、しばらく見つめあったままボーとしてたんだ。

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