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輸入グッピーを飼おう!

8.輸入グッピーの産仔


熱帯魚の産卵方法はさまざまで、単に卵をばらまくもの、水草に産み付けるもの、口の中で育てるもの、孵化するまで面倒を見続けるものなど、各種あるわけですが、グッピーは卵胎生魚です。お腹の中で卵を育て、孵化させてから体外に放出します。

このため、食卵される危険が無く、カビにやられる心配もありません。メスのお腹から出てくる稚魚は、そのまま泳いで外敵から逃げることが出来ます。通常、卵から孵化した稚魚はヨークサックという栄養袋を持っています。よく見るとグッピーも持っていますが、ほぼ使い切った状態で出てくるため、生まれた瞬間から普通に餌を食べることも出来ます。

産卵ではなく仔を産むわけですから、胎生魚の場合、産卵と言わず、産仔(さんし)と言います。

稚魚誕生は、熱帯魚を飼育する上で、最も感動を与えてくれる瞬間であり、この喜びは他に変えがたいものです。

例えば、ベタの一部やグーラミィなど迷宮魚の幻想的な交配風景は、その神秘的な美しさに我を忘れます。エンゼルフィッシュなどシクリッドが命がけで卵を守り稚魚を育てる様子には熱いものを感じます。グッピーの稚魚誕生にそこまでの感動はありませんが、誰にでも簡単に稚魚誕生の喜びを教えてくれる、という点において、卵胎生魚に勝る熱帯魚はありませんし、その代表がグッピーであることに間違いありません。

卵胎生の熱帯魚では他にプラティ、ソードテール、モーリーなどが有名ですね。ベロネソックスのようなフィッシュイーター(肉食魚)もいれば、カダヤシのように地味なメダカもいます。その他、野生の卵胎生魚はさまざまな種類がいますが、入荷量が限られていることからマニアックな分野になります。

海水魚になりますとメバル、カサゴ、マタナゴなどが有名です。魚以外では、タニシ、まむし、アリマキ、ゴキブリの中にも卵胎生のものがいるようです。


グッピーが交配するタイミングについて考えてみましょう。

グッピーは改良品種ですし、輸入グッピーにおいては、さまざまな種類を1つの水槽で飼育する、というパターンが王道であろうかと思います。
オスはしきりにフィン・スプレッディングという行為を繰り返し、メスの注意を惹こうとします。

フィンスプレッディングとは、各ヒレを大きく膨らませ、自分のボディカラーや背びれ尾ひれの柄の美しさを誇示する行為ですね。確かに発情している時のオスは、ありとあらゆる時間帯の中で、最も美しい色合いをしています。
この行為はオス同士の威嚇行為としても使われるようで、オス同士、ヒレを広げて力の入れすぎで痙攣しあってる姿は、見ていて「バカ」と呟きたくなります。

オスグッピーの美しさは求愛や示威行為のためのもので、孔雀や極楽鳥などと同種のものです。孔雀や極楽鳥もメスに向かって美しい羽をバッと広げ、痙攣しながら求愛しますよね。人間のオスが道端でトレンチコートをバッと広げ痙攣すると逮捕されますのでご注意。


さて、意外と思いつかないことですが、オスに様々な体色や模様があり、それがメスを惚れさせる要因となっている以上、メスの側にも好みが存在します。これは嗜好以外にも、病気でどよ〜んとしたオスとの交配は避ける、自然淘汰の論理も多少働いていると思うのですが、よく分かりません。

グッピーのオスが、野生種の段階から外敵に発見される危険性を冒してまで、強い原色のカラーパターンを発しており、個体差があることから類推すると、カラーパターンの違いはメスの嗜好の違い、あるいはオスの優劣格差ということも憶測は出来ます。

オスは見境無く全てのメスに求愛行為をとりますが、メスはオスの求愛を全て受け入れるわけではありません。常に逃げ惑い、尾ひれなどを使って追い払い、時には逆切れして攻撃に転じます。

いずれにせよ、グッピーをペアで入れておけば、早い時期に交配してしまいますので、嗜好など無いように思えますが、拒み続ける以上、受け入れる際のタイミング、オスが複数いる場合、どのオスを受け入れるか、という選択はあるように思います。

人間が思う優劣は個体の大きさ、各ヒレの大きさ、伸張、全体の発色、バランスという部分に絞られるわけですが、同一品種であっても、自然交配で生まれた稚魚たちが優秀とは言いがたいことからして、人間の嗜好とは全然違うものですね。

メスが餌などに油断している時、不意に後ろから襲って交配してしまう、いわゆる"sneak"が多々あり、合意の交配ばかりでは無いです。このため、メスの嗜好について考察されることはありませんし、結果的には無いのと同じです。


人の手で改良されて来たグッピーたちは、所詮人間が自然に逆らって作り出したもので、不自然極まりないものです。一旦自然に帰れば、代を重ねるたびメダカに近いものに戻って行きます。

多種類のグッピーを1本の水槽で飼育する外産グッピーにおきましては、慣れて来れば、おお、こいつとこいつが掛かった、なんていう交配パターンも分かったりして、それなりに面白いものですが、多品種の無差別交配は、人間が作り出したもの(完成された品種)を壊して行くという行為でもあります。

ただ、それでも、自分の水槽内において初めて経験する新たな命の誕生は、アクアリストとしての自分を振り返った時、長い間、記憶に残る輝かしい瞬間です。産まれた稚魚たちは、大切に育ててあげて下さい。


では、一体いつ輸入グッピーは産仔するのでしょう?

輸入グッピーは、現地のグッピー・ファームで、雌雄別に育成され、別々に袋詰めされて日本にやって来ます。国内でも問屋段階では、品種ごと、雌雄別々に管理されますから、小売店で一緒にされない限り、未だ未交配の状態です。

ですから、ホームセンターで雌雄別々の水槽からグッピーを購入した場合、初交配は、家庭内で行われることになります。(ファームで一緒にされていることもありますし例外は多々ありますが)

順調にオスがメスを追っていれば、初産仔は1か月前後で体験出来るでしょう。グッピーの交配においては、1度に3回分ほどの精子がメスの体内に残されます。

3つのカプセルを想像して頂ければ分かりやすいと思います。
1つはすぐ割れ、中から精子が出ます。2つめは翌月に割れます。3つめは翌々月に割れる。もちろん腐っちゃいません。

ですので、グッピーは1度交配すれば、同じオスから3回分の精子を受け取ることになるのです。1度交配したメスならば、そのまま1匹で隔離しても3度の産仔をする、ということです。

産仔周期は25日〜30日。平均28日間です。
出産日を記録しておけば、次は平均28日後に出産する、ということになりますので目安として覚えておいて下さい。

産仔は、新月の夜、深夜から早朝にかけて行われる。
というのが一般的かもしれませんが、実際にはケースバイケースですので、産仔前の特徴をよく読んで下さい。


産仔前のメスは、もちろんお腹が大きく膨らんで来ますが、他のグッピーと一緒に泳いだり餌を食べたりしているうちは、まだ大丈夫です。

産仔間近になって来ると、急に元気が無くなり、水面のコーナーでぼんやりしていたり、底面にじっとしていたり、体調が悪いのではないかと疑ってしまうくらいにひっそりとします。その後、ガラス面に沿って、上下に行き来しだすようになりますので、そうなったら産仔間近です。

体型的な特徴としましては、お腹の前部が丸く、後部は角ばっており、稚魚の影がハッキリ見えます。
もっとも初産仔においては、ハッキリした兆候が出ない場合もありますので注意が必要です。初産仔では5,6匹ほど、少量の稚魚しか産まないケースが多いからです。


輸入グッピーは食仔の激しい種類が多く、自然産仔させておくと、その多くは親や同居のさかなに食べられてしまいます。
特に、小型魚の中でも比較的大柄なもの。トランスルーセントグラスキャットのように食欲旺盛ななまず系、ロングフィン・ゼブラダニオなど、ちょっと大きくなるコイ系、大きくはないけどグローライトテトラのような大ぐらいのカラシン系、そしてそして、なにより大柄な輸入メスグッピー!は稚魚大好きです。

食仔される一番危ない状態は、メスが稚魚を生み落とした瞬間です。メスのお腹から出た稚魚は、放心状態で落ち、底へ着く前、我に返ります。

「な、なんだここは?」キョトンとしているその無防備な瞬間が、最も食仔され易い時間帯なのです。
我に返って5秒。はかなすぎる一生ですね。

そんなことが起きないよう、産仔直前には、メスを産卵箱へ移しておきましょう。


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