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インプレッション 本・書籍 4  2007.5.18   
                         6.02追加(金魚80品種カタログ) 6.25追加(日本金魚大鑑)

グッピーの軌跡
著者:筒井良樹 編集:月刊アクアライフ
発行:2006年 マリン企画


 1993年から2005年まで、アクアライフ誌に掲載されたいくつかの連載をまとめた追悼本です。
 連載をまとめて発刊するという行為はとても大変なことで、写真の多くは手持ちバックナンバーからのスキャンです。編集に携わったエムピージェーの方々、そして杉野裕志氏のご尽力に感謝すると共に、故人のご冥福をお祈りいたします。偉大なグッピーの伝道師であり、業界随一の書き手であり、輝くスタアでした。

 この本を読むと、あのBaseBook vol.1が、実は形でしかなかったのだということがよくわかります。
 この連載群はもっと生の声に近く、その内容がずいぶん正直に書かれていることにも驚きました。正直というと語弊がありますが、例えばギャラクシィは元々Y型プラチナコブラのことでは無かったこと、Y型プラチナコブラを水槽から発見したのは根本博道氏であったこと、発見される前からY型ギャラクシィを唐沢直樹氏がコンテストに出品していたこと等々、その時代をリアルタイムに知っている方なら当り前のことでも、BaseBookでしか知らなかった自分にとっては驚くことばかりです。また婉曲な言い回しながらニュアンスで伝えようとする部分もあってウソのつけない人だったんだなあと感じる部分もありました。

 来店される方々や行った場所、そこの人たちの描写を通じ、執筆当時の雰囲気やグッピーへの情熱がしっかりと伝わってきて、何度読み直しても大変面白い本です。1回1回の連載単位が積み重なることにより、なにを発表してくれるんだろうという臨場感こそ味わえないものの、毎月の細切れとは違う背景や興奮が見えてくるように思います。

 ただ、根本博道氏や河端寛司氏のお名前が出てこなくなる後半から、その場の思いつきで書いてるなあとか、ここまで書き切る自信はなんだろうと感じる部分が少しずつ目立ってきます。来店して聞いたことがそのまま記事になってるとつぶやいてた人が何人もいるように、外部からの刺激があってより輝きを増すタイプの方だったのかもしれません。晩年は明らかにグッピーへの興味を無くされていらっしゃいました。


 何度も読み返し、やはり自分はツツイストの一人だったと感じます。
我々は偉大な伝道師を無くしてしまった。本当にそう思います。やっと自由に語れる反面、頭上に輝く偉大なスタアはいなくなってしまいました。スタアとは色々な才能を含め、自分がなろうとしてなれるものではなく、天分が大きいのです。それは検定能力でも選別眼でも人格でもなく、もっと大きな力、求心力のようなものです。その天分は連載や著書を通じて発揮され、日本のグッピー界を引っ張り続けて来られたと思います。

 志半ばにして倒れたというより、グッピーの伝道師、広報として、やるべきことを全てやり尽くしていかれたことがせめてもの救いだったのかもしれません。この本は、筒井氏のファンだった方、グッピーの魅力にとり憑かれた方が読む本です。そしてギャラクシィがどーのこーのという部分を読み飛ばさなかったあなたのための本です。普通のアクアリストにお薦めはしません。心より、合掌。

シンガポールグッピーへの招待

 残念ながら本にはなっていません。
 筒井氏の連載が本になると聞いたとき、一番読みたい部分だったので、すっぽり抜けてたのが非常に残念でした。これは「なんでないんですかあああっ」と杉野裕志氏に文句を言ったら、掲載号の手持ち分を探してくださり、わざわざコンビニでカラーコピーして郵送してくださったものです。ありがとうございました。なんだかいつもお世話になりっぱなしで。

 自分はなぜ輸入グッピーに関する記述がどこにも無いのだろうと思い、拙いながら「輸入グッピーを飼おう」というコーナーを書きました。今でこそポピュラーになった夏の屋外飼育も手探り状態というか半信半疑で始めました。この連載にはその全てが載っているといっても過言ではなく、なんらかの形でまとまっていたら自分が書く必要なんてどこにも無かったと思います。

 確かに杉野氏をはじめ複数の方が持ち回りで書いていますし、記述的に少し古い部分もあるため、「グッピーの軌跡」へ収録する内容ではなかったのかもしれません。ただ、大変興味深い内容でした。

 どなたか、新・シンガポールグッピーへの招待、連載してください。
輸入グッピーて初心者からマニアまで興味深々だと思うし、品種カタログやファーム探訪記の特集も最近少ないですよね。輸出が産業なら遺伝学を教える専門学校はあるんですか?とか品種開発はどこでやってるんですかとか、一子相伝ですか?とか(おい)興味は尽きないです。

グッピーの世界 Vol.1-7
編集:AF・JAPAN
発行:1997-1998

 今は無いAF・JAPANの大谷康夫氏による広報及び自社グッピーカタログと遺伝解説の本というかパンフレットに近い薄さのものです。お馴染み?のメドゥーサ異数体説や、モザイク・グラスの尾ひれ模様は常染色体上の遺伝子のみで表現できる等、独自かつ異質の理論展開が多々あります。書いていること、啓蒙したいことは大変興味深く、むしろ当たり前のような気もしますが、一方的にそこまで決めつけなくてもいいじゃんのオンパレードで、もう少し冷静になろーよ、もう少し違う方面から考えてみようよ、て気分をたっぷり味わえます。専門店のあり方、アマチュアブリーダーとの関係など、苦言を呈する記事もあり、なんとゆーかコメントしづらいです。(笑)

 とても面白い内容でグッピーの写真も興味深いですが、惜しいのはあまりにも早く出版されすぎたことだと思うのです。理論で書かれた本は急速に古くなります。せめて21世紀に書かれていたら、周囲の反応も違っていただろうし、インターネットの発達もあり、調べ物も簡単で、より理論武装出来たのではないでしょうか。早すぎた傑作。そう感じました。

 パネットと遺伝子記号で埋め尽くされています。拒否反応を示す方にはとてもお薦めできません。(笑)

中国金魚大鑑
著者:ピーシーズ、杉野裕志他
発行:2006年 ピーシーズ

 金魚伝承別冊。凄いです。中国金魚1700年の歴史を感じさせる懐の深さに圧倒されてしまいました。
紫の金魚なんて見たことねええ。光州の巨大な金魚ファームに呆然とし、香港の金魚街に釘付けにされ、台湾の蓄養池に感心し、福州の蝶尾に魅了され、最後はタイ・マレーシアのピンポンパールで締め括り。200ページ、とにかく飽きさせません。

 中国金魚というとホームセンターのイメージが強いですし、日本のように伝統美みたいなものは感じられないのですが、2000面の養殖池とか1トンのミジンコとか言われてしまうと、底知れない気がします。

 自分はやっぱり蝶尾ですね。パンダとか更紗の蝶尾。きゃわいい〜っ。ホームセンターで最初に見たとき、巨大になった姿を想像して衝動を抑えてました。

 グッピーでこんな図鑑作るのって絶対無理だよなあ。
「日本金魚大鑑」もあります。

 この本、杉野さんから頂いたのですが、手書きで校正されてました。訂正箇所に全て印鑑が押してあって面白かったです。(笑)

金魚80品種カタログ
著者:杉野裕志(解説)、佐藤昭広(写真)
発行:2007年 どうぶつ出版


 身近にいるようで、なにも知らない金魚。
この本は、金魚カタログといいながら、金魚について項目・分類別にわかりやすく解説されています。

 まず、尾びれの種類、体色、誕生から成長の過程がまとめられており、日本産金魚の系統、品種一覧、作出、品種認定についても軽くふれてあります。
各章にまいりますと・・

「最新金魚名鑑」 
 「ワキン型」「リュウキン型」「ランチュウ型」「オランダ型」「外国産」「新品種」に分類され、それぞれに杉野裕志氏の解説が入ります。もちろんひとつひとつの品種にも尾型、体色、特徴、歴史など端的にコメントがついています。

「鑑賞編」
 体色、鱗、模様の種類や目の形状、色についてまとめられており、鑑賞編というか解説編というか、金魚についてまとまった知識を得たい人には最適な図解になっています。

「飼育編」
 金魚に合う水草の種類、繁殖、病気と治療など。わかりやすい写真付です。

「研究編」
 この章は杉野さんの真骨頂とゆーかなんとゆーか。(笑)
あえて書きません。ぜひ本屋で一度ご覧になって下さい。楽しいです。ブルーグラスの写真がこんなに載ってる金魚本は絶対ありません。(笑)


 品種カタログという性質上、個々に大量の情報を詰め込むわけにはいきませんし、上級、中級レベルの方が見てどう思うのかわかりませんが、金魚の遺伝についても正面から取り組んでおられ、なによりも体系だった分類と解説が大変わかりやすいので、初心者のための本格的な金魚入門としては最適な一冊だと思います。

 また、金魚の写真が大変美しいのも本書の特徴です。
A5サイズ、192P、オールカラーで\1,580。金魚ビギナーで、もう少し金魚について知りたいと思っている人なら、カタログとして、知識として、読み物として、良い本だと思います。

日本金魚大鑑
著者:ピーシーズ、杉野裕志他
発行:2006年 ピーシーズ


 中国金魚大鑑の姉妹編、とゆーか、当然こっちが本命だろーと思うわけですが・・

良い部分・品種と呼べない未固定なもの、雑種がたくさん載ってる(緋ブナや鉄魚も見れます)
悪い部分・分類・大系が不明瞭で、輸入品種も雑種も伝統品種もふつーに並べてる

 という説明が全てです。
一品一品の説明が詳しく(ちぐはぐですが)、写真も豊富なだけに、ちょっと残念な気がしました。

 ダラダラと眺め続けるぶんには面白いのですけど、「日本金魚大鑑」と銘打つには、あまりにも突貫仕事だったのかなあ? ピーシーズですから、「写真以外は仕事じゃない」んでしょうけれど、\3,400払うかどうかはあくまでも個人の価値観です。

 日本にいるいろんな金魚を片っ端から見たい知りたいという方には良い本でしょう。
見応え読み応えはたっぷりありますよ。文わ滅裂気味だし「大鑑」ぢゃねーぢゃんとは思うけど。
一応、次のページとは繋がっているようでいて、途中で緋ブナや鉄魚になっちゃったり、後の方に同種としか思えないものが出てきたりと、決して体系化した載せ方にはなっていません。テレホンショッキング的に「輪(なんの輪?)」で繋がってく感じ?

 冒頭、「金魚が誕生したのは1700年前・・」の出だしが四連荘で続いて、とても驚くです。(笑)
この本の反省をふまえた上で「中国金魚大鑑」が出来たのでしょうか?力の入り方が違うみたいです。こっちはピーシーズの悪い部分がちょっと出てるかも。

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